大阪大腸がんセンター 大阪医療センター下部消化管外科

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大腸がん最新医療

負担の少ない手術や新しい薬など

主な方法

  • ポリープ切除(ポリペクトミー)

    消化管のポリープを“輪っか(スネア)”で切り取る方法

    • ポリープを確認(内視鏡で観察)
    • スネアでポリープを輪のように引っかける
    • 電気で根元を焼き切る(止血も同時)
    • 切り取ったあとを確認して終了
  • 粘膜切除術(EMR)

    平坦〜浅いがんを、粘膜ごと持ち上げて切る方法

    • 病変を確認
    • 粘膜下に液体を注入して病変を持ち上げる
    • 盛り上がった部分をスネアで電気切除
    • 切除したあとを確認して終了
  • 粘膜下層剥離術(ESD)

    大きい病変や広範囲を一括で取り除ける精密な方法

    • 病変の周りに印をつける
    • 粘膜下に液体を注入して持ち上げる
    • 特殊なナイフで粘膜を切開
    • 粘膜下層を“剥がすように”慎重に切開
    • 病変を一括で切除
    • 切除面を止血して終了

体に優しい手術(腹腔鏡・ロボット手術)

近年、消化器外科(しょうかきげか)の手術では、お腹を大きく切らずに行う方法が増えています。大腸がんや直腸がんの手術でも、腹腔鏡(ふくくうきょう)手術やロボット手術が広く行われています。これらは体への負担を抑え、患者さんに優しい手術方法です。

ロボット支援手術とは
ロボット支援手術は、腹腔鏡手術をさらに発展させた最新の低侵襲手術です。代表的なシステムである「ダヴィンチ」は、自動で手術を行うロボットではなく、医師が操作して動かす“手術支援ロボット” です。医師は専用の操作装置(サージョンコンソール)に座り、手元のコントローラーを動かすことで、離れた場所にあるロボットアームが精密に連動します。
術者は最大15倍まで拡大できる高精細3Dハイビジョン映像を見ながら操作するため、細かな組織を正確に見極め、神経を傷つけにくい精密な手術が可能になります。
ダヴィンチの「ビジョンカート」は、ロボットから送られてくる映像を処理し、高精細な3D画像として手術室全体に共有する役割を担います。術者だけでなく、周囲のスタッフもリアルタイムで視野を共有でき、安全性向上につながります。
さらに、「Firefly(ファイヤフライ)蛍光イメージング」という特殊な機能により、周囲の臓器などが蛍光で可視化され、周囲の組織を守りながら安全かつ精密に手術を進めることができます。
Da Vinciの特徴
  • 神経を傷付けずに手術できるため、性機能や排尿機能に関わる神経を温存できる
  • おなかの中を拡大して見られるため、精密な操作ができる
  • 手ぶれを補正しミリ単位の動きが可能
  • 傷が小さい → 出血や痛みが少ない
  • 回復が早い → 入院期間が短め

高精度な操作

手ぶれを補正しミリ単位の動きが可能
人の手では難しい角度の操作ができる

立体・拡大視野

3Dの高解像度画像で患部を細部まで確認可能
Firefly(ファイヤフライ)蛍光イメージングにより血管や神経の識別がしやすい

低侵襲=身体への負担が少ない

傷が小さく、痛みが少ない
回復が早い・日常生活への復帰が早い

直腸癌切除の際のリンパ節郭清*の様子

大動脈から分岐する直腸に血液を送る血管周囲のまとわりつくリンパ節とともに切除します。

*リンパ節郭清
がんの手術時に、がんの転移(広がり)が疑われるリンパ節を、周囲の組織ごと徹底的に取り除く手術のことで、再発予防や転移状況の確認が目的です。リンパの流れに乗ってがんが広がる(リンパ行性転移)性質を利用し、転移しやすいリンパ節(乳がんの腋窩リンパ節など)を摘出することで、がんの根絶を目指します。
  • 切除部分
    青点線部分を切除します

  • ①下腸間膜動脈(大動脈から出て直腸に向かう血管)を止血し切離します。
    この下腸間膜動脈の周囲には直腸癌で郭清すべきリンパ節が存在しています。

  • ②体に残すべき組織にハサミ型の電気メスで後腹膜から慎重に剥離していきます。

  • ③リンパ節と下腸間膜動脈の周囲(点線部分)を切除します。

傷跡(術後6か月後)

基本的に腹腔鏡手術と同じように、小さな穴から手術を行います。(人差し指くらいの大きさ)傷の大きさは腹腔鏡手術とほとんど変わりません。

手術の比較

比較項目 開腹手術 腹腔鏡手術 ロボット支援手術
傷の大きさ 大きい(長い切開) 小さい穴を数か所 小さい穴を数か所(腹腔鏡と同程度)
視野の特徴 直接患部を直視(肉眼3D) カメラ映像をモニターで見る
(2D拡大)
高精細な3Dカメラ映像
(立体視・高倍率)
手術の精密さ 肉眼と手作業の範囲内 拡大映像で精密な操作可
(ただし器具制約あり)
手ぶれ補正機能+関節
器具でより精密
術後の痛み 痛みが大きい 痛みが少ない 痛みが少ない
術後の回復 回復が遅い(入院長め) 回復が早い(入院短め) 回復が早い(入院短め)
器具の操作性 手で直接操作 棒状の鉗子を操作(関節なし) 関節付き鉗子で自在に操作
手術時間 腹腔鏡と同程度 開腹と同程度 やや長い場合がある
費用負担 標準的 開腹と比較してやや高い(同程度) 開腹と比較してやや高い(同程度)
実施施設の数 非常に多い
(ほぼ全ての病院で可能)
多い(多くの病院で導入) 限られるが増加中
(国内約800台導入)
社会復帰までの早さ 遅い(復職・日常復帰に時間) 早い(早期に復帰しやすい) 早い(早期に復帰しやすい)
機能障害 起こしやすい 可能性がある 起こしにくい