大腸がんは、早期発見と「正しい病院選び」がすべてです
長瀬智也さんをゲストに迎え、当院 下部消化管外科の加藤医師と「大腸がん」についてお話ししました。
ご家族が大腸がんを経験されたことをきっかけに、「もし大切な人が大腸がんと診断されたら、どう考え、どう行動すればよいのか」という視点で、率直な思いや疑問を語っていただいています。
動画では、日本における大腸がんの現状や見つかるきっかけ、検診の受け方、内視鏡・ロボット手術の進歩、病院選びのポイント、そして当科の特色まで、患者さんやご家族に知っていただきたい内容をわかりやすく解説しています。
大腸がんと診断されたら
日本人のがん比率と早期発見
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大腸がんだけじゃなくて、日本人ってどれくらいの確率でがんになるかご存じですか?
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うーん…4人に1人くらいかな、ってなんとなく思ってました。
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実はもっと多くて、全体では2人に1人、男性は3人に2人なんです。僕と長瀬さんがいたら、どちらかは一生のうちにがんになる計算です。
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そんなに多いんですね…。やっぱり早めの発見が一番大事ってことですよね。
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その通りです。多くの方が「自分からは遠い病気」と思ってしまいますが、実はとても身近なんです。だからこそ早期発見が重要なんです。
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どのがんが多いんですか?
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日本人で一番多いのは大腸がんです。40歳を超えたら、定期健診を受けていただくのが理想ですね。
point!
- 日本人は生涯で2人に1人が、男性では3人に2人が何らかのがんになる時代。
- 日本で最も患者数が多いがんは大腸がん。
- 40歳を超えたら大腸がんを含めた「がん」がぐっと身近になる。
- 「自分とは遠い病気」と思わず、早期発見のために定期健診を受けることが重要。
大腸がんが見つかるパターン
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大腸がんが見つかるパターンは大きく2つです。
1つは症状があって病院に行く場合。もう1つは症状がないうちに検診で見つかる場合です。 -
母も、まずトイレで「いつもと違うもの(血など)」に気づいて病院に行って、そこから紹介を受けて大腸がんと診断されました。
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普段あまり出血がなかったからこそ、そこで気づけたんだと思います。
日本人は痔を持っている方も多くて、「いつもの出血だろう」と放っておいてしまうことがよくあるんです。 -
痛みが出てくることもあるんですか?
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あります。ただ、痛みが出る頃にはそこそこ進んでいることが多いですね。
胃腸炎だと思って受診して実際に胃腸炎だった、ということももちろん多いですが、「いつもと違う」「長引く」というときは、専門の先生に一度診てもらうことが大事です。 -
特に40歳を超えると、がんはぐっと増えてきます。
その年齢になったら、症状があれば我慢せず、検査を受けることをおすすめします。
point!
- 大腸がんが見つかるきっかけは主に2パターン
- 症状が出て受診したときに見つかる
- 症状がないが検診でたまたま見つかる
- 痔などで普段から出血があると、「いつものこと」と思って見過ごしてしまいがち。
- 痛みが出る頃には、かなり進行していることも多い。
- 特に40歳以降で、いつもと違う便・出血・お腹の不調があれば放置せず受診することが大切。
検診の重要性
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実は一番大事なのは、症状が出る前に検診を受けていただくことなんです。
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それは、1年に1度くらいのペースですか?
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そうです。毎年受けるのが大切です。1年受けて1年飛ばす…と、飛ばした年に進行がんが見つかることもあります。
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検診ではまず、便の中に血液の反応があるか(便潜血検査)を調べます。
そこで陽性が出た方や、血便・お腹の痛み・便通の異常など症状がある方は、次のステップとして「大腸内視鏡検査」を受けていただきます。 -
大腸の場合、早く見つけると治療がとても簡単になります。
がんになる前にまずポリープという良性の状態があって、その段階で切ってしまえばがんにならずに済む。そこがとても重要です。 -
内視鏡の技術は、この10年でかなり進歩しているんですか?
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はい。内視鏡の性能もどんどん上がっていますし、日本では以前は麻酔なしで行うことも多かったのですが、今は麻酔を使って楽に検査を受けられる施設が増えています。
小さなポリープも、AIが補助して見落としにくくなってきているんですよ。
point!
- 一番大事なのは「症状が出る前から検診を受けること」
- 大腸がん検診は、多くの場合
→ 便潜血検査(便の中に血液反応があるか調べる検査)からスタート。 - 便潜血検査が陽性だった場合や、血便・腹痛・便通異常など気になる症状がある場合、また40歳を超えたら
→ 次のステップとして「大腸内視鏡検査」を行う。 - 毎年きちんと検診を受けていれば、
- まだポリープ(良性)の段階
- 早期の小さながん
- 内視鏡・麻酔・AIの進歩により、検査のつらさは大きく軽減している。
内視鏡手術とロボット手術
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今はロボット手術、ダビンチみたいな機械も導入されていますよね。
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そうですね。日本では2018年に保険適用になってから、一気に広がりました。3D画像で細かく見えて、人間にはできないような繊細な動きができるのが特徴です。
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ロボットだと、手術も早く終わったりするんですか?
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そういう面もありますが、ロボットが勝手にやってくれるわけではなくて、きちんと訓練された外科医が操作してこそ力を発揮する道具なんです。
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大腸がんの中でも、肛門近くのがんは以前は人工肛門が必須でした。
でも今は、手術前に放射線と抗がん剤を組み合わせる治療を行うことで、がんがほぼ消えて手術そのものが不要になる方が約4割というデータも出てきています。
さらに、ダビンチのようなロボット手術は、肛門ぎりぎりの狭いところでも精密な手術ができるので、直腸がんには特に強いですね。 -
ロボット手術って日本中に広がっているんですか?
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はい、日本は世界一の普及率と言われています。小さな病院でも導入されているところが増えています
point!
- 以前はお腹を大きく開ける手術が主流だったが、今は
- 腹腔鏡手術(小さな傷で行う手術)
- ロボット支援手術(ダビンチなど)が広く行われている。
- ロボット手術は2018年に日本で保険適用となり、3Dの高精細な視野と、人間の手以上に繊細な動きが特徴。
- 特に直腸のような狭い場所での手術で威力を発揮し、人工肛門を避けられるケースが増えつつある。
- 患者さんの自己負担は保険診療の範囲内で大きく変わらないが、病院側にはコストがかかる。
- 日本はロボット手術の普及率が世界トップクラス。
大腸がんは予防できるのか
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正直なところ、サプリは大腸がんに対してはほとんど無力なんです。
それをするくらいなら、さっきお話ししたように検診を受けて、早く見つけて、早く治療する方がずっと意味があります。 -
油ものを控えるとか、よく言われますよね。それ以外に予防ってあるんでしょうか?
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バランスの良い食事は大切ですが、それでもがんはできるときはできるんです。
だからこそ、生活習慣+早期発見・早期治療の両方が必要になります。 -
大腸の場合、一番大事なのはしっかり毎年検診を受けることです。「たまに」ではなく毎年。
僕はよく「誕生日の近くに検診を受ける習慣にしましょう」とお話ししています。そうすると、忘れずに年に1回受けやすいですよね。 -
大腸がんは、日本人で一番多いがんですが、検査さえしていれば大腸がんで亡くなることはまずありません。
ほぼ100%治せる時代になっています。 -
母のとき、まさにそれを実感しました。最初は「がん=死」を想像してしまいましたが、
「大腸がんは、きちんと診断・治療すれば死なない病気になってきている」ということを、身をもって感じました。
point!
- サプリや健康食品だけで大腸がんを防ぐことはできない。
- 食事・運動など健康的な生活は大事だが、それでも大腸がんは起こりうる。
- 一番大切なのは、
- 毎年検診を受けること
- ポリープや早期がんの段階で見つけて治療すること
- 検査をきちんと受けていれば、大腸がんで命を落とすことはほとんどないレベルまで治療成績は向上している。
病院の選び方
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大腸がんと診断されたとき、多くの人が「紹介された病院でそのまま治療を受ける」と思うんですが、患者側が病院や医師を選ぶ自由ってあるんでしょうか?例えば「ガイドラインを作っている先生がいる病院かどうか」って、病院を見ただけではなかなか分からないですよね。
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もちろん自由です。 ただ、時間がない中で情報も少なくて、考えているうちにがんは進行してしまいます。多くの場合、内視鏡検査をしてくれた先生が、そのまま次の病院を紹介して流れで治療に進むケースがほとんどだと思います。
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病院や医師を選ぶときは、まずがん拠点病院やがんセンターをおすすめします。各都道府県に最低1つは指定の病院があります。
そのうえで、大腸がんなら大腸を専門にしている医師がいるかを確認していただくと良いと思います。 -
目安としては、
・消化器外科学会の専門医・指導医
・大腸肛門病学会の専門医・指導医
こういった資格を持つ医師がいると、「大腸を専門にしている」と言えますね。 -
ガイドラインというのは、日本全国の専門家が集まって、「今の時点で最も良いと考えられる標準治療」をまとめたものです。
2年に1回ほど更新されていて、ほとんどの病院はこのガイドラインに沿って治療しています。
point!
- 診断を受けると、多くの場合は内視鏡検査をした医師が、次の病院を紹介し、そのまま流れで治療まで進むことが多い。
- がんは、迷っている間にも進行してしまうため、情報不足のまま病院が決まってしまいがち。
- 病院選びの目安:
- がん診療連携拠点病院・がんセンターであるか
- 大腸がんなら
- 消化器外科専門医・指導医
- 大腸肛門病学会の専門医・指導医
- 診療ガイドラインは、全国の専門家が議論・投票を重ねて作る「標準治療の道しるべ」で、多くの病院がこれに沿って治療を行っている。
大腸がんガイドラインってなに?
- 医師たちが話し合って決めた「最新の治療のすすめかた」のルールブックです。
- どの治療がよいか、科学的なデータにもとづいて整理されています。
- 全国どこでも、だれでも、安心して同じ質の治療を受けられるためのものです。
大阪医療センター 下部消化管外科について
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大阪医療センターの下部消化管外科って、どんなところなんでしょうか?
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大阪医療センターはとても古い病院で、歴史的建造物と言ってもいいくらいなんです。
見た目は正直、少し古くてきれいとは言えないかもしれませんが、下部消化管外科として集まっているメンバーは大阪でもトップクラスだと思っています。 -
見た目よりも中身で勝負している感じが、逆にすごく「硬派」で信頼できますね。僕、アメ車が好きなんですけど、外観はボロボロでも中のエンジンは最新でめちゃくちゃ速い車があって、そういう車を「ホットロッド」って言うんです。
大阪医療センターも、なんだかそのホットロッドみたいでカッコいいなと思うんですよね。 -
いやあ、うれしいですね。中身は本当に自信を持っていい医療をしているつもりですが、なかなかそれを外からは分かってもらいにくいので…。
そう言っていただけるとありがたいです。 -
病院は大阪城のすぐ横にあります。
僕はここに来てもう8年目になりますが、大阪のこのあたりは掘ると遺跡が出てくるので、簡単には建て替えられないんですよ。 -
横浜など全国にもトップレベルのドクターがたくさんいて、みんなライバルではあるんですけど、患者さんを助けることが一番の目的なので、いがみ合うのではなく、情報を隠さず全部さらけ出して、「どうやったら一番いい医療ができるか」をいつも一緒に考えています。
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実は、この動画シリーズも、日本中のトップの先生方に順番に登場してもらいたいと思っているんです。
今回は特別回として長瀬さんに来ていただきましたが、今後はそれぞれの地域や専門分野の先生に出ていただいて、
視聴者の皆さんに「どんな医師が信頼できるのか」「どんな治療が行われているのか」を知ってもらえる場にしたいと考えています。 -
僕も、視聴者の方はもちろん、自分自身へのアドバイスとしても、このシリーズを楽しみにしています。
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今日は硬い話になるかと思っていましたが、楽しくお話しさせていただきました。
お忙しい中、本当にありがとうございました。 -
こちらこそ、いつでも呼んでください。ありがとうございました。
